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2011年9月 2日 (金)

天地真理49 水色の恋(1)

「不世出の証」終了以降、天地真理さんの歌に関する記述が減っていた。
今年1/1に始めたこのブログは、せめて真理さんのデビュー40周年記念日に当たる
10/1までもたせたいと思っていたが、
気がつけばもうすぐその10/1がやってくる。
既にいろいろな形で公表されている諸先輩方の思いや考察との重複など顧みず、
あの歌についても、この歌についても、
自分の思いの丈をぶちまけたいと思っていたが、
「不世出の証」で取り上げたもの以外、それらに触れることなくここまで来てしまった。
少々回り道が過ぎた感はあるが、
再びそれぞれの曲について、私の勝手な想いを述べさせていただこうと思う。
10/1が来てしまうと、また少々うわずった記述も現れるとは思うが。


どの歌手にとっても、デビュー曲は特別な意味を持つ。
とりわけその曲がヒットに結びつき、歌手としての人生の道を開いてくれたものともなれば、
その歌への感謝は並大抵のものではないだろう。
デビュー曲とは、必ずしもその人がプロとして最初に歌った曲ではないようだ。
下積み時代の長かった歌手は、いくつかの曲を経て、歌手名まで替えて、
ようやくつかんだヒット曲をデビュー曲と呼ぶ場合も多い。

石川さゆりさんは「かくれんぼ」という曲がデビュー曲なのだそうだ。
しかしこれも含めて14枚のシングルがあまり売れず、
次の「津軽海峡・冬景色」で初めてスターダムにのし上がった。
その意味では、「津軽海峡・冬景色」こそ、この方の実質的なデビュー曲であるのだろう。
あるテレビのインタビューでこの方が、そのあまり売れない時期に、
一つでもヒット曲が出るまで続けよう、ヒット曲が出たらやめよう、
と思っていたと、語っておられた。
ひとたびヒット曲が出たら出たで、一発屋で終わりたくないと、また意欲が出たとのことだが。
このような下積みの長い方々にとっては、デビュー曲は努力の一つの終着点である(パターン①)。
本当にこれが終着点で、これで終わる歌手もいる。
あるいは、ヒット曲と言ったらデビュー”ヒット”曲だけだが、
その後、歌番組や地方公演などで長く歌手生活を続ける方もいる。

美空ひばりさんのデビュー曲は「河童ブギウギ」なのだそうだ。
ただ、実質的なデビュー”ヒット”曲はその次の「悲しき口笛」のようだ。
ご本人談でも、それまでのものまね路線から初めて自分のために本格的に作られた曲として
この曲をあげておられた。
しかし、このような方の場合、デビュー曲が何かというのはもうどうでもいいという感じさえする。
言ってみればデビュー曲は、その後の大きな経歴から見れば、小さな出発点である(パターン②)。

上記のものと分類の仕方が異なるが、
天地真理さん以降の、いわゆるアイドル歌手のデビュー曲は、
どちらかと言えば企画先行の、後に聴けば少々(時に大いに)恥ずかしい、
青春の思い出としてファンの胸に刻まれるタイプのものが多い(パターン③)
真理さんと合わせて3人娘と称された、
小柳ルミ子さんの「わたしの城下町」、南沙織さんの「17才」は、
多少の気恥ずかしさはあるだろうが、比較的冷静に聴ける類いの曲である。
キャンディーズのデビュー曲「あなたに夢中」は、スーさんがセンターにいたなど、
ファンにとってはいろいろな感慨もあるだろうが、
歌手にとっても、ファンにとっても、恥ずかしくも懐かしい青春の思い出として刻まれるタイプだろう。
山口百恵さんのデビュー曲は「としごろ」だが、デビュー”ヒット”曲はその次の「青い果実」だろう。
これなど、賭けに近い企画物の最たるものだ。
後にご本人も、「こんな詩、歌うんですか」と内心思ったことを述懐されている。
幸か不幸か、大きく時を経てご本人がこの歌を歌うことはなく、今後もないだろうが、
ご本人も歌い辛いと思われるデビュー曲を持つアイドル歌手は多いように思われる。


さて、天地真理さんのデビュー曲はどうだろうか。
幸いにも真理さんの場合、公式録音の最初のシングルが大ヒットしたのだが、
元祖アイドルと言ってもいい存在であるにもかかわらず、
いわゆるアイドル歌手のデビュー曲(パターン③)とはかなり趣を異にする曲である。
同じ渡辺プロの先輩格に当たる、小柳ルミ子さん、南沙織さんのデビュー曲に比べても、
どちらかと言えば地味で、青春の気恥ずかしさなど感じる余地のない、
アイドル路線としての企画臭のない、冷静な、立派な曲だ。
その後の活躍などを考えると、パターン②にあたる、小さな出発点型だろう。
だが大方の天地真理ファンと同様(だと私が思っているのだが)、
この「水色の恋」という曲は、上記のような分類にはまらない、大きな意味を持っている。

天地真理さんがこのデビュー曲を発表したのは、私が中学1年生の時である。
その時点でどれだけ真理さんに、あるいはこの「水色の恋」という曲に、
私が注目したのか、記憶が定かでない。
別項で述べるように、私にとって彼女を強く意識し始めたのは
3つ目のシングル「ひとりじゃないの」からである。
従って、このデビュー曲に青春の思い出のようなものはあまりない。
ところが今、天地真理の歌として最も重要な、最も忘れ難い曲として一つを挙げろと言われれば、
私は躊躇なくこのデビュー曲「水色の恋」を挙げる。
それはひとえに、この曲の歌詞、

  あの人にさよならを 言わなかったの
  さよならは お別れの言葉だから
  あなたの姿 あなたの声は
  いつまでも 私の想い出に

にある。
長調の、どちらかと言えば素朴な曲調に乗せて歌われるこの詩を聴くたびに、
天地真理さんがこの歌に出会った奇跡、この歌をデビュー曲に選んだ奇跡、
そしてそれが認められて実際にデビューシングルとなった奇跡を噛みしめずにはおれない。
この曲は、遠い青春の思い出とか、小さな出発点とかいった、
過去の、ある固定された存在ではなく、
聴くたびに、心の中で、年々そのありがたみが膨らんでいく、
そんな不思議なデビュー曲だ。

それは、私自身が真理さんの歌を再評価し、その偉大さ、その価値に気付き、
聴けば聴くほどその良さに心酔していくとともに、
それを少しでも多くの人にわかってもらおうと駄文を露するにつれて、
そして、大衆レベル、業界レベルでの、その歌への評価の低さ、
彼女の人生の、私から見たある種のやるせなさ、
歌が以前のようには歌えなくなってしまった不条理さ、
そのような思うに任せないことがらが私の頭から離れない中でも、
彼女は言い訳も抵抗もせず健気に生きている、
そのことに対し、この曲があるじゃないの、
この詩は、真理さんを思うすべてのファンの、真理さんへの気持だと、
私が心の中で繰り返し唱えるにつれて、この曲は私の中で大きな存在となっていくのだ。

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コメント

SHIN殿 こんにちは おひさしぶりです(汗)
この記事を読んだ時点で私はshin殿の感じ方に大いに共感しています
同い年生まれなんですね 中3トリオと同期でしょう
そして真理さんの歌との出会いの経緯 ルミ子さん 沙織さんの歌の感じ方 
そして最も注目したのが真理さんについての感じ方の変遷を鑑み  
私と同じケースなのには少々驚きを感じると共に 一種の連帯感さえ感じましたよ 
私も真理さんを強く意識し出したのが「ひとりじゃないの」からです したがって「水色の恋」「ちいさな恋」がヒットしていた頃はまだ子供だったんでしょうか
でも 後年「水色の恋」を聞いた時の私自身の捉えは SHIN殿が感じたものにかなり近い感触であったのです
私にとって生涯忘れえぬメロディーとなったのでした
真理さんにとっても最も感慨深いデビュー曲なんであろうことは真理さんの発言からも明白ですね
その後の更にヒットした曲より真理さんにとってこの曲を収録した時が最もはらはらドキドキの青春のピークで在ったのでは無かろうかと 想います   
私事ながら 昨年末より我が闘病日記を創ろうと想っていた矢先に真理さんに再会(YTで見た水色の恋に ただただ涙涙涙、、、)

当時真理さんの事全然理解もせずに忘れていた自分が今になって真理さんの歌から生きる勇気を頂いてしまってます、、、

TIPさん
同い年、光栄です。
早くもご共感をいただいた部分があるのはうれしいことです。
TIPさんはご自身のブログで「今だからこそなのです。」と書かれていました。
私も過去を振り返れば、いろいろと悔恨の情などがありますが、
今だからわかる本当の良さだと思うことにしています。
(ブログを徘徊すると、中には小学生低学年なのに
 その歌の良さに気付いておられた方もおられたようですが)
数年前からの再評価の風、
そして真保さんの尽力からファンクラブ、40周年と、
今だからこそのうねりも来てますね。

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