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2011年3月29日 (火)

天地真理21 証①音色美 「好きだから」-16(周波数成分7 倍音ゆらぎ)

天地真理さんの、倍音が多い声の威力は、ただそれだけにとどまらない。
再度、「好きだから」の中の、”あのひとがーとってもすきだからー”
の部分の
調波構造(周波数成分)を示す。

Voiceprint_anohitoga_2

真理倍音Ⅱ(O10oU4k倍音)からなる”がー”と”らー”の部分にはさまれた、
”とってもすきだか”の部分を見ていただきたい。
”がー”と”らー”の部分に比べて倍音が大幅に減少している。
母音を描き分けるのに必要な最小限の成分のみになっていると言っていい。
「天地真理15」で、チェリッシュの声を分析した時に述べたが、
これは純音(単一周波数の音)に近い、ハミングのような音だ。

”とってもすきだか”の部分の母音オ、ウ、は倍音が出にくいという性質はある。
しかし、真理さんはすべての母音で、
真理倍音Ⅰ(U4kO6k倍音)、真理倍音Ⅱ(O10oU4k倍音)を出せることが確認できている。
つまり、倍音の数を変化させているということだ。
これは歌う側から見れば「倍音コントロール」であって、
出来上がった音楽としてみれば、「倍音ゆらぎ」といってもいいだろう。

このような「倍音ゆらぎ」は、
1972年後半、シングル版で言えば「ふたりの日曜日」あたりから、
より洗練され、明確に歌の中に織り込まれ、絶妙になっていく。

「若葉のささやき」にその典型例を見てみよう。

Voiceprint_wakabaga

”わかばー”のところで見事な真理倍音Ⅱ(O10oU4k倍音)(ここでは実に15倍音)が出た後、
”まちに”のところで急激に倍音が減少していき、
”きゅう”のところでは、ほとんど基本周波数と第5倍音の2つになっている。
ここでの響きは、チェリッシュの項で書いたように、純音に近く、
ハミング音のような、縦笛やオカリナのような音だ。

この独特の響きは、天地真理さんの歌をお聴きの方々にとっては、
しばしば印象に残っている声ではないだろうか。
厚みのある声の間に、フッと浮きあがるような瞬間が生まれる、あの声だ。
このオカリナのような響きは、時に透明感、時に寂寥感、
時にちょっとした驚きや意外感など、さまざまなニュアンスをもたらす。
特に母音”ウ”でよく見られるが、
1974録音の「ブランコ」では、見事な
真理倍音Ⅰ(U4O6倍音)の傍らに、
驚くことに”ア”、”イ”、”オ”でもこのオカリナ音がある。

この音色はチェリッシュの項で説明したのであえて真理倍音とはしないが、
チェリッシュの声と質的には同じでも、少し違った印象を受ける。
真理倍音Ⅰ(U4O6倍音)や真理倍音Ⅱ(
O10oU4k倍音)で囲まれた中で発せられるために、
極めて効果的に演出されるためだろう。
ここまで見事に倍音が変わると、
「倍音ゆらぎ」というよりは「倍音コントラスト」と言った方がいいかもしれない。

真理倍音Ⅰ(U4O6倍音)、真理倍音Ⅱ(O10oU4k倍音)が彼女の音色美の核だと述べたが、
これだけを聴いても心地よい上に、
これらの倍音が減り、時に倍音が極限まで消えたオカリナ音に変わるときに、
言葉の力だけでは得られない、心の揺さぶられ方をする。

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コメント

真殿 こんにちは。
漸く貴殿の天地真理声質探究にコメントできるレベル(最低)になったつもりで、
真理さんを再度聞き始めたころからなんとなく気になっていたのですが、知識も無い私は それが何から来ているのかは不明なんでした。
イッチー殿が言われるファルセットが真理さんの歌の根幹を成しているということはいち早く理解したので、真殿の考察の深さが漸く氷解しそうな、、とは言っても中々説明は難しいのですが。
「すきだから」での真理さんの声は地声と倍音が交互に出ているのが特徴的であり、声の揺らぎ(ビブラート)部分ではまるで二重唱しているような、、(私のあまり良くない耳で聞いた感覚です)
それにしても、こんなに歌詞の輪郭がはっきり聞き取れる真理さんの声には改めて驚きですね。

Tipさん

「歌詞の輪郭がはっきり聞き取れる」、同感です。
比較しようとして、レコード大賞を取った最近の歌手の歌を聴いたとき、
何度聴いても歌詞が聴き取れない所が複数あって、愕然としました。
図書館でCD借りて、歌詞カードを返してしまったので未だにわかりません。
今の歌詞に頭がついていけてないのか、耳と頭が衰えたのか。
はたまた真理さんを聴きすぎたせいなのか、ならいいですが。

次の項で述べるように、
真理さんは、公式音源では、2曲を除いてすべて裏声で歌っているようです。
しかしその音色は、地声並み(またはそれ以上)の倍音から成り立っています。
感覚的には、良い響きの地声から女性らしい極上の裏声までが
つぎ目なく響いていると思われても不思議ではないと思います。

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